スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Sugary 1-1

子供の頃の夢って、どうしてあんなに純粋なんだろう――?
その夢が叶うと信じて疑わない。



“甘い甘いお菓子の家を作りたい”



童話の中にワープして、そんな夢を持った私。



29歳。独身。ばりばりのワーカホリック。
穢れを知らない無垢な心はとうの昔に置いてきた。
そんな夢なんて、



忘れた。


――――はずだった。




Sweet Home




水曜の朝は夢見心地だ。なんと言っても、2度寝、3度寝が出来るから。


遮光カーテンを閉め切った寝室は、太陽が高い位置に昇る頃でも真っ暗な闇に覆われている。
そんな中、寝室のドアをカリカリと擦る音が微かに鼓膜を掠めて、私は重い体を徐に起こした。
――ミュウだ。
1年前から私の同居人となった黒猫が、「早く起きろ」と言わんばかりに、ドアを叩いている。



「ミュウ、起きるから…ちょっと待って」



まだぼんやりとする瞼を指で擦りながら、ノロノロと起き上がり、ドアを開けた。


「ミャ~…」


扉を開けた途端、とびきりの甘えた声を奏でながら、私の足元に擦り寄って体をくっつけてくる。
漸く起きた主人をつぶらな瞳で見上げ、そしてもう一度鳴いた。



「おはよ、ミュウ」



抱き上げて、リビングに向かいながら、ミュウの黒の艶やかな毛並みを撫でていると、少し申し訳ない気持ちになった。


平日仕事の時はほとんど構ってやれてないからか、彼女は私の休みの日になると、途端に甘えたになる。
――と言っても、おそらくお腹がすいたから、「早く食べさせろ」と言いたいのだろうけど。



リビングのフローリングにキャットフードを置いてやると、ミュウは私をチラリと一瞥してから、
静かにそれを食べ始めた。
きっと「ありがと」って言ってるんだろうな、この猫は。
私はその顔に満足して、洗面室に向かった。





鏡を見て、げんなりした。
この顔色の悪さ。最悪だ。
全体的にくすんでいて、寝すぎたからか顔がむくみ、はれぼったい。
しかも、一番目立つのは目の下の隈だった。


(あーもう、やだ……)


全てを忘却したくなって、私は乱暴に服を脱いだ。
裸になって、いつもより熱く設定したシャワーを浴びる。
俯いた先には、排水溝。
そこに消えていくお湯のように、私の疲れも流して消せたらいいのに、なんて。
本気で思ってしまうあたり、重症かもしれない。
比較的ラフな格好に着替えてリビングに戻れば、ミュウ専用のお皿はきれいさっぱり何もなくなっていた。



ソファの上で丸くなっているミュウの体が、規則正しい呼吸で上下している。



(私はあなたが羨ましいよ…)



そんなことを思いながら、ふと気がついた。
ゆっくりとリビングを見渡せば、いろんなものが散在している。
なのに、どこか生活感がない部屋。
主がここにいるというのに、おかしい。


――いつになったら私は、独りに慣れるのだろう。
と、溜息をひとつ落として、彼女の隣に座ろうとしたちょうどその時。



――ピンポーン…



チャイムの音が鳴り響いた。


「はーい」


宅急便かなと思いながら、何気なくインターホンの液晶を見た。



「なん……、で!?」



(な……なんで、アイツがここにいるの……!?)



そこに写っているのは宅急便のお兄さんなんかではなく―――。
私のよく知っている男だった。



参加しています↓応援ポチッと。更新意欲アップです♪
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村



スポンサーサイト

comment

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。