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Sugary 3-1


週末。
といっても私達営業課にとって、週末とは火曜日のこと。


住宅メーカーは水曜を定休日とするから、そこに営業をかける私達の休みも自ずと合わせることになる。
つまり、今日は“花の金曜日”。


高瀬の歓迎会がある夜だった。
まあ今夜がたとえ花の金曜日ならぬ、花の火曜日だとしても、私はいつも仕事三昧で、
そんなものを満喫したことは無いに等しかった。
我ながら仕事人間だと思うんだけど。もしこのスタンスを変えたら。
私はどうなる――…?








大阪の住宅展示場でのアポが終わったのがちょうど18時のこと。
今日のお客さんは30代前半のご夫妻と子供1人の家族だった。
2回目の打ち合わせ。成約書類を無事回収して。漸く胸を撫で下ろす。



住宅設備メーカーに勤める私は大手住宅メーカーの一社を担当して、
そこで新築を建てるお客さんに営業をかける。


(高梨さん、幸せそうだったな…)



帰宅ラッシュで混みだしたJRに揺られながら、
窓の外の町並みをぼんやりと眺めて、今日のお客さんの顔を思い出す。
希望と、目標に溢れた表情。
新築を建てる人は皆同じような顔をする。



私だって、分譲マンションだとしても家を買った身だから、その気持ちは分かる方だと思っている。
悔いのない家を作りたい。
家族の住みよい家を作りたい。
そこでのあたたかい団欒を夢描いている段階なのだろう。



ただし、夢と現実の境界線はすれすれだといつも思う。
買った当時は、こまめな掃除だって、おしゃれなインテリアだって、
特に気を遣って、ステキな家を保つ努力をした。
なのに。
この1年で、気がつけば変化していた。
私のように、ただ「寝に帰るだけ」の家になるケースだって稀にあるのだ―――。





暮れゆく街が夕日に赤く染まっている。
私はひとり溜息を吐いた。







「あ~美奈ちゃんお疲れ~!」


部屋に通されると、すぐさま仲野さんが大きな声を掛けてきた。
歓迎会はとっくに始まっていた。
大阪本部の近くの居酒屋の掘りごたつの一室。
見渡せば営業課の人間が20人ほど集まっている。


「お疲れ様です」


適当に皆に会釈をして、端の端の空いてる席に座ろうとしたら、



「美奈ちゃんはこっち!!」


またまた大きな声で仲野さんに呼ばれた。
仲野さんの凄みのきいた声に負けて、私は渋々座敷の中央付近に足を向けた。


「よお悠木」


(げ…、よりによって高瀬の前!?)


そこには、既にネクタイを外した高瀬隼人がいた。




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