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Sugary 1-9



―――本当は…ずっと、美奈子に逢いたいと思ってた―――


この恋はとっくの昔に終焉を迎えていた。
なのに、この人はどうして、
突然私の前に現れて、心を揺さぶるような台詞を吐くのだろう。







「……帰るから。放して」


そう言って、私は彼の手を振り払った。
掴まれていた手首は、少しだけ赤くなっていた。
椅子の背もたれにかけていたジャケットをとり、男の顔も見ずに
居酒屋の出口に向かう。
そそくさとお勘定をして、
逃げるようにお店を飛び出したのに。



「――待って、」


追いかけてきたのか、少し乱れた息が俄かに聞こえ、
後ろから肩を掴まれた直後、正面にまわられた。


「ごめん、美奈子。話がしたい。」

「私は話なんてない。」

「俺はある、本当は――ずっと謝りたいと思ってた。」



俯いたまま、顔を上げられずにいた。
彼の両手が私の肩に置かれている。その重みに逃げ道を閉ざされたように、動けなくて。
ツンと衝動的に涙腺が緩むのを、唇を噛み締めることで必死に抑えていた。


「あんな終わり方して、何度も後悔した。」

「やめて…」

「ずっと、美奈子のこと。心の中でひっかかってた。」

「やめてよ!」


反射的に彼を見上げた。
ズルイと思った。こうやって、人の記憶の鍵を勝手に開けて、
私を再び、どん底に陥れようとしているのだろうか。



「これだけは信じて。――俺、…美奈子のこと…本気だったから」



パシン!と。
私の右手は勝手に彼の頬を叩いていた。
びっくりして、自分の頬をおさえる彼と目が合い、ハッと意識が舞い戻る。
我慢の限界を越えて涙が肌を伝い、滴り落ちる瞬間。
四月の少し寒さの残る風が、スッと通り過ぎていった。



「――もう…っ!どう…して!!今更…っ!そんな言葉っ、聞きたくない…っ!!
私はっ!私だって!信じてたよ…だけど、裏切ったのは、利樹の方じゃない!
――もう…私の前に現れないで……!!」



私は嗚咽を我慢しながら、その場から逃げ出した。
もう、何もかも、ぐちゃぐちゃだ―――。






走って、走って、迫り来る過去から
逃げ出すように、ただひたすら走った。



涙がとめどなく溢れて。悔しかった。
泣き虫な女は嫌いだ。大嫌い。
そう思っていたのに、今の私は、涙を止める術を知らなくて、弱くて、ちっちゃいと思った。
漸くマンションに着いた時には、途方もない脱力感に被われて。
なのに、涙は未だに止まらないままだった。




「悠木…?」


最悪だ。と思った。


5階でエレベータを降りると、ちょうど、アイツと出くわしてしまった。
私の顔を見るなりぎょっとした高瀬は、言葉を失っているようだった。
すり抜けるように高瀬の横を走りぬけようとしたその時、




「待てよ」



低く唸る様な声で、高瀬は私を引き止めた。


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comment

Secret

更新ありがとうございます(o>ω<o)
ぎゃお!って感じですねー…
ミナコ切ない…
文章に惹き込まれます!

Re:

yoppi様 こんにちは♪いつもありがとうございます!まさにぎゃおーですね~!利樹と美奈子の間には何があったんだーv-12更新のパワーいただいちゃいました!またご感想お待ちしてますv-238
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